ブログ:「田の草取り」考 其の三
2021/07/09
/ カテゴリー:商品紹介
/ 執筆者:相田聡
見た目にも怖い強烈な刃の付いたサンプルでしたが、結局依頼先の農家の方からは数丁の注文をいただきました。鍬の状態の刃形に長柄を付けた仕様ですので、田んぼに入って雑草を抜くには問題ないとは思いましたが、使用後の管理がどうなるか一抹の不安は残りました。刃部を下にして納屋にしまうとすれば鋭利な刃先が上を向きます。刃部を上にして軒先につるそうとすると、万が一の落下で大事に至る。考えれば考えるほど一般に向けた商品としては成立しないと確信するのでした。
低農薬・減農薬での稲作は当時からのトレンドでしたので、いずれ効率を求める水稲用除草具は遅かれ早かれ他社からリリースされるのであろうと想像は付きます。水田用の手押し中耕機は以前からありますし、エンジン式の水田除草機も登場し始めたころです。手道具でお求めやすい価格帯に商品を投入できないか?凶器と評されたサンプルの爪の特徴を生かしつつ、使用後の管理に問題の無い、なおかつ製造上の手間を抑えてという諸条件をクリアする商品に作り替えなくてはなりません。一度立ち止まりかけた新商品づくりでしたが、求められるであろう将来の需要に向けて、工場の職人との議論と新たなサンプルづくりが加速するのでした。
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▼田の草取り 取説ムービー
(クリックすると動画が再生されます)
ブログ:「田の草取り」考 其の二
2021/06/25
/ カテゴリー:商品紹介
/ 執筆者:相田聡
農家の方が持ってきた自作のサンプルは古びた四本鍬の刃先に、加工したコンバインの刃を溶接したものでした。コンバインの刃は菜切り包丁のような両刃に下ろしてあり、四本鍬の刃の上に垂直に立てあります。鍬の刃先が正面を向いていると言った方が分かりやすいでしょうか。

上の画像は農家の方の自作品を参考に、弊社で作り直したものです。四本鍬の刃をご要望のように鋭利に仕上げそのまま四本鍬状にしたものです。こちらに柄を付けサンプルとしたのですが、農家の方は刃先の鋭利さに思わず「凶器」とおっしゃたのです。こちらとしてはご要望通りを形にしたつもりなのですが何かが違ったようです。
そもそも、水稲用の中耕除草具として伝統的に伝わっていた道具は「がん爪」とよばれ、柄が短く三本、四本の爪状の鍬が一般的です。ところが、この農家の方は腰曲げがきついので田んぼに入った状態では立姿勢で使用したい事。立姿勢では長柄の先に刃がつく構造になるので、刃は切れ味が必要と思われたようです。
「がん爪」は田んぼに生える根を爪に掛けて引き抜くイメージで使用する道具です。農家の方は外来雑草の根張りに「引き抜く」より「引き切る」を選択されたようです。それにしても弊社のサンプルが強烈過ぎて怖くて使えないと、1stトライアルは失敗に終わったのでした。
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ブログ:「田の草取り」考 其の一
2021/06/24
/ カテゴリー:商品紹介
/ 執筆者:相田聡
2010年、全国各地で行っていた鍬の修理相談会、その一会場であった相談がこの「田の草取り」開発のきっかけとなりました。
「作付けしている田んぼに訳の分からない雑草が生えて困っている」そう言いながら手には自作したと思われる変わった鍬を持ったお客さんがいらっしゃいました。器用に溶接して造作された鍬は、古くなったコンバインの刃を元にして自作したのだそうです。詳しく話を聞くと、ご自身の田んぼは低農薬でコメを作っているそうで、用水から引いた水に訳の分からない雑草の種が混ざっていてそれがご自身の田んぼで芽を出すのだそうです。その方曰く、おそらく用水に引水している河川の上流にある畜産農家が与えている飼料が外国産で、そこに外来の雑草の種が紛れ込んでいる、というのでした。
しかし、農家の方は器用なものだなと思わず唸ってしまうそれは、もはや鍬というよりは鉄工芸の域。自分ではこれ以上の造作ができないので、ここをこういう風に、このような状態の雑草をこんな風に引き抜きたいと思いの丈をぶつけられてしまったのでした。
このようなやり取りから出来上がったのが画像の「田の草取り」です。商品名の「田の草取り」は私が命名。この農家の方が熱望したのが、田んぼの雑草抜きでしたのでそのまま商品名とさせていただきました。
鋭利な細刃の5本爪、実はこの形に落ち着くまでに幾度のトライアルがあったのです。1stトライアルの試作品を見た農家の方は「凶器」とのたもうたのでした。次回は「凶器」の画像をご紹介しつつ、商品化までの面白話をご紹介します。
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ブログ:「トンビ鍬」考 其の四
2021/06/15
/ カテゴリー:商品紹介
/ 執筆者:相田聡
トンビ鍬の使い勝手に触れてその用途を大きく変えようとしたのは農業ボランティアの皆さんでした。
自然に帰った農地で雑草の根をザクザク切り進むトンビ鍬を改良できないかと相談をうけました。その内容は「一日中振れるトンビ鍬」を作ってほしいと言うものでした。「一日中振れるトンビ鍬?」という発想が私には無かったので、意図しているところを詳しく聞いたのです。
するとそれは、雑草を切り土を起こし、土を砕き土を混ぜ、挙句、畝を立てるまでをトンビ鍬でしたいというものでした。そもそも、「平鍬」一本でこれらの作業をするということに無理あるので、作業によって鍬を使い分けること。その初手に「トンビ鍬」を使うことを農業ボランティアの皆さんにお伝えしてました。ですので、一本で何でもできる「トンビ鍬」を受け入れるのは、さすがに抵抗があったのです。
お邪魔するたびに器用にトンビ鍬を操るさまを見て、使用場所と使用者と道具の親和性を感じた私は彼らの要求を受け入れることとしました。長時間の使用のために全体の重量を落としつつ、唐鍬としての機能を失わず、且つ畝立てに使用できる土すくいを設けるという、あくまでも個人用のカスタマイズで製造したのでした。
【好きこそものの上手なれ】 彼らの手によって耕作放棄地は見事な農地に戻っていくのでした。
「一日中振れるトンビ鍬」は、この土地とこの人たちとの関係性の中で成立するのだと改めて認識させられた出来事でした。
*記事に出てくる「一日中振れるトンビ鍬」の商品設定はございません。
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ブログ:「トンビ鍬」考 其の三
2021/06/05
/ カテゴリー:商品紹介
/ 執筆者:相田聡
私が家庭菜園向きに商品の見直しと「鍬の選び方・使い方ワークショップ」の事業構築をする際に、トンビ鍬を最も重要な商品として位置付けたのは次の理由からです。
①家庭菜園ユーザーの多くが宅地内に花壇や畑を作ろうとしていること。
②家庭菜園ユーザーの多くが平鍬1本で作業をなそうとしていること。
③弊社で運営するワークショップの初手で使用する道具として、失敗が少ないだろうと予見できたこと。
家庭菜園を始める方の多くがプランター等での野菜栽培を始められます。その後プランターから平場に移行する際には、宅地内に花壇と併せて始める方が多い。花壇を作る際にホームセンターで購入した花用の土を入れるイメージで作物用の畝を作ろうとすると、土の必要量が違うのでおのずと宅地を掘り返す作業となります。宅地はもともと家を建てるために硬く造成されいるので、土壌が固く軽量の平鍬では刃がたたないという状態になります。そこで固い土壌を掘り返すという作業が忽然と目の前に現れ、鍬をショベルに持ち替えるわけです。
この段階で固い土壌に「平鍬が刃がたたない」、「ショベルだと力が入らない」などの問題が発生し私どもにお問い合わせをいただくお客さまが多くありました。これらのことから、鍬の種類で用途が変わることをお伝えするための「鍬の選び方・使い方ワークショップ」の事業構築を決断することとなります。ワークショップでは一番最初にお使いいただきたい道具として、固い土壌に使用する「唐鍬(トウクワ)」を提案することとなります。ところが一般的な唐鍬は刃先が「直線」もしくは「内弧」(上の画像)となっており、鍬の扱いに慣れていない人が刃先を土壌にまっすぐ打ち込むには扱い難さがあります。
そこで、刃先が丸く少々打ち込みに手がぶれても刺さりの良い「トンビ鍬」をご紹介することとしました。下の画像右は実際にワークショップで初めてトンビ鍬持たれた方のものです。雑草残りのある状態の土壌にもうまく打ち込むことができています。

以上のように、お問い合わせをいただいていた事案とおすすめした商品がうまくマッチングすることができました。このあと、トンビ鍬は想定外の要望で新たな局面を迎えることとなります。
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オープンファクトリー 工場見学を引き続き期限を設けず中止いたします。
2021/06/04
/ カテゴリー:お知らせ
/ 執筆者:相田聡
新型コロナウィルス感染拡大防止のため、2020年4月6日(月)から工場見学を中止しておりますが、引き続き期限を設けず当面の間中止いたします。
大型連休頃から燕三条地区の他社の工場見学とあわせて弊社の見学をご希望されるお客様からお問い合わせをいただいておりますが、現在弊社は工場見学を再開しておりません。弊社の工場見学につきましては、全国的な感染拡大の収束が見られると判断される時期に再開予定でございます。ご理解をよろしくお願いいたします。
なお、鍬の修理品のお持ち込みは、引き続きお受付をさせていただきます。
ブログ:「トンビ鍬」考 其の二
2021/06/03
/ カテゴリー:商品紹介
/ 執筆者:相田聡
トンビ鍬は通称で、種類別では唐鍬(トウクワ)に分類される「開墾鍬(カイコンクワ)」となります。トンビ鍬の呼び名は、外套の「とんびコート」にその形状が似ているところから名付けられたとされています。
全国各地に様々な形状の鍬がある中にあって、トンビ鍬の形状は全国で大差がありません。形状よりも重さの別の方が種類があると言えます。大振りのものは刃部だけでも550匁(約2㎏)あり、打ち込むというよりは自重で土壌に刺さり込むような使用方法になります。小さいものでは250匁(約940g)から200匁(約750g)の刃部で名称もトンビ鍬の他に坊主鍬(ボウズクワ)とも呼ばれ、主に稲株起こしに使用されます。小さいものは現在ではほぼ製造することのないサイズとなっています。稲株起こしはトラクターの仕事となっていますし、寒起こしなどという農作業はほぼ死語となっていますね。
20年ほど前、とあるホームセンターではトンビ鍬がそこそこ売れていました。そちらのお店ではタケノコ掘りに使用されるお客様があると聞き、大変驚いたことを覚えています。大振りのトンビ鍬で掘ればさだめし大きなタケノコが掘れるかと思いましたが、タケノコの生えている周りの土を掘るのには刃部の広がりが便利なのだそうです。よくよく考えればそりゃそうですよね(笑)
弊社では、家庭菜園や農地での使用を想定して大・小2サイズで定番商品を展開しています。この他にも様々な大きさや形の見本や型紙がございますので、興味のある方は是非お問い合わせください。
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ブログ:「トンビ鍬」考
2021/06/02
/ カテゴリー:商品紹介
/ 執筆者:相田聡
昭和40年代から農作業に大きな変革をもたらした農業機械の登場に壊滅的とまで言われた農具の業界でしたが、全国の中山間地を中心とする農地での需要は平成の声を聞くまでは緩やかな右肩下がりでした。その後平成に入りバブル経済の崩壊期に重なるように始まった農作物の自由化で、農業を取り巻く環境は悪化の一途となりました。それらのおありを受け、弊社でも農家向けの業務用鍬は受注減少の歯止めが利かくなりました。
それらの受注減少の中で最も早く受注数を減らし、鍬の絶滅危惧種とまで言われたのが画像の「トンビ鍬」です。元々の用途が開墾、根切り、稲株起こしの道具ですので、農業機械のトラクターにほぼ作業を奪われ、かろうじて残っていた中山間地での棚田管理作業は後継者不足等も相まって不耕作地となり「トンビ鍬」の役割はほぼ潰えたのでした。
以上のような時代の変遷を受け年間製造数が50丁程度にまで減少していた2010年頃、トンビ鍬に新たな役割が見え始めたのです。それは農業ボランティアの登場です。各地で耕作放棄地が社会問題化し同時にIT環境が仕事の在り方に変革をもたらしてきた時期に、若者を中心としたライフスタイルの再構築や農業の再評価もあり耕作放棄地解消に取り組む人たちが増えてきました。ちょうどその頃、弊社では家庭菜園向きに商品の見直しと「鍬の選び方・使い方ワークショップ」の事業構築を始めており、トンビ鍬はその中で私が最も重要な商品として位置付けていました。
「耕作放棄地ではホームセンターの鍬が刃がたたない」と問い合わせをいただいたのが2012年のことでした。これをきっかけに耕作放棄地解消に取り組む農業ボランティアの皆さんにトンビ鍬を提案し、使い方を含め現地に赴き市場調査をした結果トンビ鍬の有用性を再確認できたのでした。その後、自社サイトや使っていただいた農業ボランティアの皆さんの口コミもあり、販売数量が徐々に回復し現在に至っています。

家庭菜園では宅地につくる花壇や畑の土起こしにお勧めしています。また、収穫の終わった畝崩しや大きめの雑草を根ごと切り取る作業にもお使いいただいています。
弊社商品のカムバック賞は間違いなく「トンビ鍬」が受賞します(笑)
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個人のお客様のオーダーメイドを再開いたします
2021/06/02
/ カテゴリー:お知らせ
/ 執筆者:相田聡
諸事情により中止しておりました、個人のお客様のオーダーメイドのお引き受けを、本日より再開いたします。ご希望されるお客様はホームページ等からお問い合わせいただきますようお願い申し上げます。
http://www.kuwaya.com/contact_inq/form.cgi
個人のお客様のオーダーメイドのお引き受け再開は、延期をさせていただきます。
2021/05/06
/ カテゴリー:お知らせ
/ 執筆者:相田聡
諸事情により、5月初旬の再開を予定しておりました個人のお客様のオーダーメイドのお引き受けは、延期をさせていただきます。再開時期につきましては、改めてホームページでご案内をさせていただきます。ご理解を賜りますようお願い申し上げます。